転職体験談:建設コンサルタント技術士から異業種へ - 【転職体験談&仕事観】技術士・建設コンサルタントから異業種へ   

転職体験談:建設コンサルタント技術士から異業種へ

 前職は建設コンサルタント技術者でした。関西の建設コンサルタント会社に勤務していました。それが、あるきっかけにより30代なかばで異業種へと転職しました。
 建設コンサルタントとは、公共事業の計画、設計を行う会社ですが、具体的に私が携わっていたのは、道路や橋などの土木構造物の設計計算や図面作成を行う仕事です。業務は、100%行政(国や自治体)から受注するものです。土木に関する専門的かつ幅広い知識とコミュニケーション能力が求められる職種です。

 現在はエネルギー関連の企業に勤務しています。求められるスキルは、建設コンサルタントのような生産性ではなく、人間関係や協調性が重視される風潮があります。



【なぜ転職したか】

 私は、仕事が趣味かと思えるくらい意欲を持ってこなしていましたので、それなりにやりがいを持っていました。技術士の資格も入社当初からの目標で、思いっきり勉強して30代前半で取得しました。まさか、自分が会社を転職するなんて夢にも思っていませんでした。

 それが、あるとき突然、異業種への転職を決めたのでした。

 転職の決め手となったもの、その要因はひとつではなく、いくつかの要因が偶然にも重なり合い、まるで運命だったかのように転職の方向に気持ちが変化していったことを覚えています。
 ひとつ言えることは、仕事内容や人間関係、給料に対し、大きな不満があったわけではないということです。したがって、自ら転職先を探すような活動は行っていませんでした。



【転職前の状況】

 転職を考えるきっかけを得たのは年度末の頃でした。建設コンサルタント業界は年度末は時間外勤務が増えてしまう傾向があり、私も当時は月に100時間くらいの時間外勤務をやっていました。因みに、サービス残業ではありませんでしたが、100時間はさすがに辛かったです。
 でも、30代から40代の社員は、会社にとっては主力の人材になるので、残業が嵩むのはやむを得ないと考えていました。だから、それほど苦にはなっていませんでした。(あるきっかけに出会うまでは。。。)

 また、私は建設コンサルタントの仕事に誇りを持っていました。幅広い知識を吸収し、仕事に活かしたいといつも考えていました。でも、少し限界を感じることがありました。

 建設コンサルタントの仕事は、公共事業の計画や設計を行う会社なのですが、新卒社員は入社後ずっとコンサルタント業務に従事し、工事の現場を見ることがほとんどありません。私は、現場を知らない自分が設計をすることに疑問を感じていました。

 上司が言うには、現場が見たければ見学すればいいとか、現場を知ってる人間に聞けばいいといいます。でも、建設業界では、設計ミスにより現場が困惑したり、賠償問題が発生することもあり、私にとって不安要素となっていました。私は、社外との人脈形成に努め、自分の苦手分野を克服することに努めてきました。

 しかし、あるきっかけにより、私の気持ちに変化が生まれました。



【転職のきっかけ】

 あるきっかけとは、社外で人脈形成に努める中、全く異業種のエネルギー関連の会社(A社)に勤務する同世代の土木技術者(S氏)との出会いでした。S氏は、建設コンサルタントではなく、建設会社から今のA社に転職した方でした。

 私の心は一気に燃え上がりました。業種は違えど、自分のスキルを活かしながら、新たな技術を修得できる仕事がある。その会社は、自社の設備を新設、維持、更新してく部門があり、設計から施工まで一貫して対応できる人材が必要とされていたのです。

 私は、施工の経験はありませんでしたが、それに関して一切心配はありませんでした。仕事は、業務に携われば誰でもすぐに覚えられます。私が問題にしていたのは、建設コンサルタント会社では、業務の中で施工に携わる機会が得られないまま設計を行うことだったからです。
 また、A社はそこそこ名の通った大きな会社で、安定性もあり福利厚生もしっかりした会社でした。時間外業務については、私がショックを受けるくらい少ない現実でした。時間外業務を苦にしていなかったとはいえ、できれば少ない方がいいのが本音です。

 このような好条件に出くわしたことで、私の心の奥にあった仕事の不安と、さらに奥底にあった会社の先細り感が増幅し、私の心は転職に向かい始めました。


【転職の決断】

 S氏は、私のことを勧誘することはありませんでした。ただ、A社の内情を色々と話してくれました。給与、仕事内容、中途人材の扱いなど。
 転職には必ずリスクがつきものです。ですから、私も他人に対して転職を進めることは致しません。あくまでも、自分で決めることです。S氏もそれを心得ておられました。

 A社のことを色々と知ったとはいえ、転職を決意するには情報不足と感じていました。人生を左右する一大行動を起こすのですから、A社以外の会社のことも知りたいと思い始めました。逆に言うと、他のどの会社よりもいい条件でないと決断できないと考え始めました。
 しかし、他の会社の情報なんて簡単に知れるものではありません。当然、勤務している会社にばれることは禁物ですので、むやみに会社訪問することなどできません。また、ネット上で求人情報を検索しても、浅い情報しか得られませんでした。

 そこで行き着いたのが、転職支援サイトでした。ネット上で紹介している情報以外に、自分の条件に合う会社を紹介してくれました。驚いたことに、私が元々いた会社よりも条件の良い会社がいくつもありました。
 最終的には、転職支援サイトを通さずA社の試験に自力で合格し転職することになりましたが、A社の採用試験を受ける決断に至ったのは、転職支援サイトから得た情報と比べることが出来たからです。



【転職のメリット】

 先に述べた通り、私は将来への不安要素として、公共工事の実施工を知らないまま設計業務に従事することに疑問を感じていました。今回の転職は、まさにそれを解消できるものでした。今の会社は異業種ではあるものの、これまでの土木スキルを活かして、設計から施工まで一貫して従事できる仕事内容となっています。建設コンサルタント技術者の私が、自ら弱点と認識している点をクリアできることになり、私にとって転職のメリットと捉えています。

 私は、建設コンサルタント技術者には、幅広い知識と経験が求められると考えていますので、今回のように、「スキルを活かせる異業種」への転職は、ある意味、他社への出向と捉えても良いと考えています。
 転職して約10年になりますが、もしも今、建設コンサルタント業界に戻ったとしたら、以前の自分よりも良い仕事ができると自負しております。もし、今の会社が経営難に陥った際には、今度は自信を持って建設コンサルタント業界に再転職したいと思います。

 また、もう一つのメリットとして、今の会社は時間外作業や休日出勤がほとんど無く、福利厚生も抜群です。前職に比べると大幅に時間的ゆとりを得ることが出来ました。
 そのおかげで、波止釣りという趣味に出会うことができ、またこのようにブログを書くこともできるようになりました。

 以上、私の転職メリットについてまとめると以下のようになります。
 ①建設コンサルタント技術者として自分が認識する弱点を克服できた
 ②時間的なゆとりが持てるようになった
 ③安定性のある大企業で安心して働ける



【転職のデメリット】

 私の転職で、デメリットは収入面です。
 一般的に、転職する場合は収入増を条件とする場合が多いかもしれませんが、私の場合は違いました。転職に至った経緯については、先に述べた通りです。
 転職で収入が減ることについては、当時私も悩んでいました。転職支援サイトで見つけた会社には、もっと収入の高い会社もありました。それでも、なぜ転職に踏み切ったかというと、収入の内訳に関係しています。

 建設コンサルタントに勤務していたころは、技術士やその他の資格の手当が7万円くらいありました。また、残業手当が毎月40時間から50時間くらいありました。

 現在の勤務先には、資格手当が無いことと、残業が少ないため、月に約10万円くらいの減収となります。技術士の資格手当がなくなることは痛いですが、残業手当が減ることは、一概にデメリットとは言えません。

 一方、ボーナスは建設コンサルタント会社でもらっていたときよりも、安定して支給されますので、月給の補填はボーナスでまかなえると考えました。それでも、転職したての頃は、年収ベースで1割以上減りました。

 年収が回復したのは、転職して3年くらい経ったころでした。辞めずに前の会社に残っていたら、収入が今より多かったか、少なかったか、それは分かりません。

 また、大きな会社というのは、色々と社内ルールが厳しく、前職に比べると窮屈に感じます。会議や決裁なども一苦労で、社内に向かって仕事をしているような感じが馴染みづらいです。
 建設コンサルタントのように、生産重視で実務に専念してきた私にとって、非常にストレスのたまる環境といえます。これが原因で転職を考えるほどではありませんが、デメリットを挙げるとすれば、以上のような会社に対する不満ということになります。

 以上、デメリットについてまとめると以下のようになります。
 ①技術士の資格が活かせない
 ②収入が一時的に減った
 ③業務内容が非生産的で面白みに欠ける



【転職して良かったか】

「転職して良かったか?」と、よく聞かれるのですが、正直なところ分かりません。
 つまり、良かったところと、悪かったところがあるからです。

 ひとつ言えることは、「現在、転職願望があるか?」と聞かれると、無いと答えます。そういう意味では、転職して良かったと言えるのかも知れません。

 因みに、今は転職願望は無いと言えますが、条件の良い誘いがあればどうなるかわかりません。今の会社に転職した時も、あるきっかけがもとで、突然転職する方向に気持ちが動きました。チャンスがあればいつでも動けるように、自分磨きを継続していくことが大切と考えています。

 もし、仕事の悩みや転職の不安を抱えている方がおられたら、信頼できる社外の人に相談することをお勧めします。転職活動は、会社にばれると後々気まずいことになるので、慎重に行動する必要があります。
[あさりオヤジ]


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